古くは離宮八幡宮(桐原日桁宮・きりはらひげたのみや)と呼ばれました。祭神の菟道稚郎子(うじのわきいらつこ)は日本書紀によれば、兄の大鷦鷯(おおさざき)皇子(のちの仁徳天皇)との皇位をめぐる葛藤から宇治川に入水したという悲運の皇太子です。本殿は鎌倉時代のもの。他に木造狛犬や白色尉面など貴重な文化財が伝わっています。
産土神として、地元の民に愛される神社
宇治橋東岸の上流、朱色の朝霧橋たもとの鳥居をくぐると、菟道稚郎子(うじのわきいらつこ)の宮跡といわれる宇治神社があります。
応神天皇の離宮があったと思われ、宇治神社と宇治上神社が鎮座するこの一帯は、応神天皇の皇子で、宇治十帖の八宮のモデルとも言われている「菟道稚郎子」の邸宅跡と考えられており、皇子の亡くなった後、邸宅跡にその霊を祭ったのが神社の起こりと言われています。
地域の産土神(うぶすながみ)であった離宮社は、対岸に広大な別荘(現在の平等院等、一帯)が建立されると、藤原氏の崇敬を受け、平安から鎌倉時代にかけては「離宮祭」とよばれる祭礼時には神馬が奉納され、競馬、田楽が華々しく行われ、当時、付近の宇治川は舟で溢れかえったと伝えられています。
現在でも、毎年5月8日から6月8日にかけて離宮祭が行われ、平成10年には市民の手により、長らく途絶えていた田楽も復興しました。
本殿は三間社流造り桧皮葺きの社殿で、鎌倉時代初期の建築です。内陣には菟道稚郎子の木造等身大坐像がお祀りしてあり、いずれも国の重要文化財に指定されています。
他に木造狛犬や白色尉面など貴重な文化財が伝わっています。木造狛犬は開口する獅子(阿形)と一角を持つ狛犬(吽形)で一対とされ、格調高い作品として極めて貴重なものです。
みかえり兎
昔、宇治という地名は菟道と書いて(うぢ)と呼んだとされ、内なる場所から後に宇治になったといわれています。宇治神社の神の使いも兎で、こんな伝説が残っています。
御祭神(菟道稚郎子命)が、この地に住まいを定められて、河内の国より向われる途中、道に迷われ難渋している時に一羽の兎が現れ、後からついて来られる御祭神を振り返り振り返り先導申し上げたと言う古伝により「みかえり兎」と言われ、この姿は、道徳に叶った正しい人生の道を歩むよう教え諭しているもので、神様のお使いとされております。
(写真:連載コラムの取材撮影に宇治神社を訪れる奥山氏)
拝観時間・駐車場
■拝観時間
特になし
■駐車場
マイクロバス1,400円・普通車700円
アクセス
〒611-0021
京都府宇治市宇治山田1
TEL:0774-21-3041
■電車
・JR奈良線で「宇治駅」下車、東へ徒歩約13分。
・京阪電鉄宇治線で「京阪宇治駅」下車、徒歩約5分。
■お車
・大阪方面から
名神高速「大山崎」ジャンクションから
京滋バイパスに乗り換え
「宇治西」インターから京滋バイパス側道を直進
・名古屋方面から
名神高速および新名神「瀬田東」ジャンクションから
京滋バイパスへ乗り換え「宇治東」インター出口左折
・奈良方面から
京奈和自動車道「城陽」インターから国道24号線を
経て京滋バイパス側道へ右折