興聖寺は仏徳山と号する曹洞宗の名刹で道元禅師を開祖としています。1236年に伏見深草に建てられたのですが途中で廃絶し、1649年、当時の淀城主、永井尚政によって、宇治七名園の一つの朝日茶園であった現在の場所に再興されました。本堂は伏見城の遺構と伝えられ、その奥に建つ天竺堂には、源氏物語宇治十帖古跡の「手習の杜」に祭られていた「手習観音」が安置されており、春秋に美しい「琴坂」とともに人気の観光ポイントです。
宇治茶まつりでの「茶壷口切の儀」
茶人でもあった尚政は、山水を取り入れて現在のような枯淡閑寂な境内をつくりましたが、往時には少なくとも三つの茶亭があったと伝えられています。
毎年10月に行われる「宇治茶まつり」においては、初めてお茶を中国より日本に伝えた明庵栄西禅師と、宇治に茶園を開いた明恵上人、茶道の始祖千利休の三恩人への報恩感謝、かねては茶業功労者の遺績を追慕するとともに、宇治茶の隆盛を祈願するゆかしい行事として、興聖寺本堂にて「茶壷口切の儀」が行われ、毎年全国から多くの観光客や、 茶業を営む方が宇治を訪れられます。
琴坂
参道は、脇を流れる谷川のせせらぎが琴の音に似ていることから琴坂とよばれています。春4月は自生する山吹が咲き、紅葉する11月はモミジのトンネルとなることから多くの方が写真を撮りに来られます。
琴坂のトンネルを通り過ぎると、竜宮造りの山門(楼門)、続いて薬医門をくぐると石組みの庭園で、これは法堂(本堂)前庭となっていて奥は法堂。前庭のつつじ・さつきもまた美しく、琴坂の椛・楓とあわせて、宇治十二景の一つに挙げられています。
(写真:連載コラムの取材撮影に興聖寺を訪れる奥山氏)
拝観時間・拝観料
■拝観時間
午前9:00~午後5:00
■拝観料
庭園無料 建物内部は志納金(一口300円)が必要
アクセス
〒611-0021
京都府宇治市宇治山田27-1
TEL:0774-21-2040
■電車
・JR奈良線で「宇治駅」下車、徒歩約20分。
・京阪電鉄宇治線で「京阪宇治駅」下車、徒歩約10分。
■お車
・大阪方面から
名神高速「大山崎」ジャンクションから
京滋バイパスに乗り換え
「宇治西」インターから京滋バイパス側道を直進約10分
・名古屋方面から
名神高速および新名神「瀬田東」ジャンクションから
京滋バイパスへ乗り換え「宇治東」インター出口左折
・奈良方面から
京奈和自動車道「城陽」インターから国道24号線を
経て京滋バイパス側道へ右折