橋姫は橋の守り神です。瀬織津比咩(せおりつひめ)を祭神とする当社は、はじめ宇治橋に祀られていたともいわれていますが、その後移され、1867年の洪水で流失するまでは、宇治橋の西詰にありました。現在、境内には水の神である住吉神社が並んで祀られています。交通の要衝として発展してきた宇治にとって、宇治橋はとりわけ大きい意味を持っており、橋姫神社を巡って数々の伝承を生み出しています。また、源氏物語「宇治十帖」ゆかりの古跡になっています。
宇治橋の守り神 橋姫神社
宇治橋西詰、あがた通りの大鳥居をぬけるとすぐ左にあります。橋姫とは橋の守り神で、古代より水辺、特に橋は心霊の宿るところとされていました。
橋姫神社は瀬織津比咩尊(橋姫)のを祭神とし、水運の神である住吉明神と並んで境内に祀られています。1870(明治3)年の大洪水で流されるまでは宇治西詰にあり、さらに古くは宇治橋三の間に祀られていたと伝えられています。
昔から、水辺や橋の神様は女性だと考えられてきましたので、橋姫は、宇治川の神様だと捉えられていたと思われます。
また他方では、昔から地元のゆかりの神様だったこともあり、様々な伝承も生まれています。「丑の刻参り」の原型と言われたり、神は川の汚れを流すとされ、苦しみ、悪縁も消し去るとして信仰されてきたため、縁切りの神様として、悪縁を絶ち切ってくれるとお参りされる方も多い神社です。
源氏物語宇治十帖「橋姫」の古跡ともなっています。
源氏物語 第45帖 「橋姫」
源氏物語第3部宇治十帖の始まりです。
光源氏が亡くなった後の話で、ここからの主役は光源氏の子供である、薫と孫の匂宮です。
源氏の腹違いの弟である八の宮が隠居生活を送っていると聞き、仏道の修行をしながら、俗世にとどまる八の宮に興味をもった薫が、宇治に訪れた際、八の宮の二人の娘たちがひっそりと暮らしている所を垣間見、心焦がれたところから、宇治での悲恋が始まります。
「橋姫の心をくみて高瀬さす 棹のしづくに袖ぞ濡れぬる」
”宇治川のほとりに暮らす姫君の気持ちを思い、浅瀬を漕ぐ舟の雫に濡れるように、私は、涙で袖を濡らしております。”
薫がその時に八の宮に宛てて読んだ和歌から、タイトルの橋姫がつけられました。
この和歌に詠まれている橋姫は、繊細で可憐、愛しい人を待つ姫といったイメージです。
宇治十帖は「橋姫」で始まり「夢浮橋」で終わります。これは、平安京と宇治をつなぐ橋であり、男女の関係そのものをつなぐ橋であるとも考えられます。
また、”橋姫”は宇治川にかかる宇治橋の守神で、結界の象徴とも言え、宇治十帖の冒頭が「橋姫」であるのは、作者・紫式部が二つの世界、ことに男女の世界を結ぶことの難しさを”橋姫”に象徴させたと言えるのではないでしょうか。
アクセス
〒611-0021
京都府宇治市宇治蓮華46
TEL:0774-21-2017
■電車
・JR奈良線で「宇治駅」下車、東へ徒歩約8分。
・京阪電鉄宇治線で「京阪宇治駅」下車、西へ徒歩約10分。
■お車
【大阪方面から
名神高速「大山崎」ジャンクションから京滋バイパスに乗り換え、「宇治西」インターから京滋バイパス側道を直進
【名古屋方面から
名神高速および新名神「瀬田東」ジャンクションから京滋バイパスへ乗り換え「宇治東」インター出口左折
【奈良方面から
京奈和自動車道「城陽」インターから国道24号線を経て京滋バイパス側道へ右折