県(あがた)とは、大和政権が西日本の要地に設けた地域組織で、特に畿内にあった県は、政治と祭祠に重要な位置を占めていたといわれています。祭神は木花開耶姫(このはなさくやひめ)で、平等院建立時には、その鎮守となったとも伝えられています。
毎年6月5日から6日の未明にかけて行われる県まつりは「暗夜の奇祭」といわれ、宇治を代表する祭として多くの人出で賑わいます。
宇治地域の護り社 縣神社
平等院の南門から西へ100メートルほど手前のところに県(あがた)神社はあります。祭神は火の神様と言われる、木花開耶姫命(このはなのさくやひめ)で、社名も、直轄領・宇治県(うじあがた)に由来しているとも、木花開耶姫命の別名である吾田津姫(あがたつひめ)がなまったともいわれています。
また、平安時代藤原頼通によって宇治殿を平等院としたときに、平等院の鬼門に当たることから、鎮守社にされたと云われており、平安後期には「県の森」とも呼ばれていました。
境内に入って左手にある県井戸は、和歌の歌枕に使われる県井と言われており、「都人 きてもをらなむ 蛙なく あがたのゐどの 山吹の花」(後撰集)などいろいろな和歌に登場します。
江戸時代には民間信仰が盛んになり、毎年6月5日夜に行われる暗闇の奇祭「あがた祭り」はこの頃始まったとされていますが、この祭りはお神興が通る間沿道の明かりが消されて真っ暗闇になる暗闇の奇祭として知られており、毎年6月5日には県神社一帯は参詣者と露店で埋め尽くされ、とても賑やかになります。
茶壷口切りの儀
縣神社の献茶祭は、薮内流御宗家のご奉仕により毎年執り行われてきました。茶道の新茶は十一月の「口切の茶事」で始まります。
まず、茶壷口切式により、初夏に摘まれたてん茶が取り出され、石臼で抹茶に仕上げられます。その後家元により濃茶と薄茶が点てられ、神前に捧げられたあと、祝詞奏上や玉串が奉納され、宇治茶と茶道の隆盛が祈願されます。式典後には、参列者にも抹茶が振る舞われ、挽きたての抹茶が味わえます。
献茶祭式典中に行われる茶壷口切式は、古来「宇治茶師」に伝えられる重要な式法です。
壺詰より口切まで一子相伝で伝えられるこの式法の護持が宇治茶の歴史をたどり、宇治茶発展の象徴となるよう願いを込めて執り行われています。
(写真:宇治茶師「古儀茶壷口切式」の作法を伝承する堀井七茗園)
アクセス
〒611-0021
京都府宇治市宇治蓮華72
TEL:0774-21-3014
■電車
・JR奈良線で「宇治駅」下車、東へ徒歩約12分。
・京阪電鉄宇治線で「京阪宇治駅」下車、西へ徒歩約7分。
■お車
【大阪方面から】
名神高速「大山崎」ジャンクションから京滋バイパスに乗り換え、「宇治西」インターから京滋バイパス側道を直進
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名神高速および新名神「瀬田東」ジャンクションから京滋バイパスへ乗り換え「宇治東」インター出口左折
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京奈和自動車道「城陽」インターから国道24号線を経て京滋バイパス側道へ右折