明治時代までは、隣接の宇治神社と二社一体で「離宮上社」と呼ばれていました。祭神は、応神天皇とその皇子菟道稚郎子(うじのわきいらつこ)及び兄の仁徳天皇とされています。本殿は、平安時代後期に建てられた現存するわが国最古の神社建築です。境内にはその他、鎌倉時代に建てられた春日神社などの摂社や、宇治七名水のひとつ「桐原水」があります。
静寂の世界文化遺産への誘い
宇治上神社は1994年に『古都京都の文化財』としてユネスコ世界遺産に登録されました。
小さな山寺を思わせる門をくぐると、正面に見えてくるのが拝殿です。拝殿の前には、境内をお清めするものとして、「清めの砂」である円錐の盛り砂があります。
とても大きな拝殿で、調査によると1215年頃に造られたとされています。鎌倉時代の建築技術を知るための手がかりとしてはとても優れたもので、神社でありながら住宅建築を思わせる寝殿造の建造物として、とても貴重な文化財とされており、特に縋破風(すがるはふ)といわれる手法を用いた屋根の美しさは格別です。
また境内には、宇治の七名水の一つ「桐原水」があり、こんこんと湧きでる清水が、神社の静寂に磨きをかけています。
他の六名水が失われた現在では、現存する唯一の湧水となっています。
日本最古の神社建築・本殿
拝殿の裏手に回ると、幅の広い石段があり、その上に拝殿に比べて小さい造りの本殿があります。
本殿は、平安時代後期に建てられた現存するわが国最古の神社建築です。
左殿、中殿、右殿と三つの社があり、三棟の内殿を一列に並べて、共通の覆い屋で覆った特殊な形式の建物で、左右の社殿にある蟇股(かえるまた)も建築年代を示すものとして重要です。
左右の扉の内側には重要文化財に指定されている絵が描かれています。
同じ世界遺産の平等院と比べると、訪れる人も少なく、簡素なたたずまいが逆に神々しさを感じます。作られた時代に思いを馳せ、悠久の歴史を感じる・・そんな空間がここにはあります。
(写真:連載コラムの取材撮影に宇治上神社を訪れる奥山氏)
拝観時間・拝観料
■拝観時間
午前9:00~午後4:30
■拝観料
無料
アクセス
〒611-0021
京都府宇治市宇治山田59
TEL:0774-21-4634
■電車
・JR奈良線で「宇治駅」下車、東へ徒歩約20分。
・京阪電鉄宇治線で「京阪宇治駅」下車、徒歩約10分。
■お車
・大阪方面から
名神高速「大山崎」ジャンクションから
京滋バイパスに乗り換え
「宇治西」インターから京滋バイパス側道を直進
・名古屋方面から
名神高速および新名神「瀬田東」ジャンクションから
京滋バイパスへ乗り換え「宇治東」インター出口左折
・奈良方面から
京奈和自動車道「城陽」インターから国道24号線を
経て京滋バイパス側道へ右折