中国の僧隠元(いんげん)が1661年に開山した禅宗黄檗宗の本山。広大な境内では、今も雲水達が厳しい戒律のもと、日夜修行に励んでいます。東西に並立した伽藍配置は明末・清初の中国禅寺の特徴を持ち、異国情緒の漂うお寺です。布袋和尚像、十八羅漢像、観音像などの仏像は、写実的で迫真性に富んだ面相を特徴とする中国の仏師范道生(はんどうせい)の作品として有名です。また、当寺の名物、中国風精進料理の普茶料理は、見た目の華やかさとともに、ヘルシーな料理として人気を呼んでいます。
中国文化を広めた、黄檗宗大本山 萬福寺
黄檗山萬福寺は1661年に中国僧、隠元隆琦(いんげんりゅうき)禅師によって開創されました。禅師は中国明朝時代の臨済宗を代表する僧で、中国福建省福州府福清県にある黄檗山萬福寺のご住職をされていました。
その当時、日本からの度重なる招請に応じ、63歳の時に弟子20名を伴って1654年に来朝されました。宇治の地でお寺を開くにあたり、隠元和尚は寺名を中国の自坊と同じ「黄檗山萬福寺」と名付けました。
その後、幕府の政策等により、宗派を黄檗宗と改宗し現在に至ります。日本でいう「禅宗」は、臨済宗、曹洞宗、黄檗宗の三宗に分類されています。
萬福寺の伽藍建築・文化などはすべて中国の明朝様式です。また、お寺の読経なども中国式で、日本のお経とは一風変わっており、音楽なども奏でられます。
美術・建築・印刷・煎茶・普茶料理、隠元豆・西瓜・蓮根・孟宗竹(タケノコ)・木魚なども隠元禅師が来られてから日本にもたらされたものであり、当時江戸時代の文化全般に影響を与えたといわれています。
また、室町時代に京都で始まった都七福神のひとつ、布袋尊が祀られています。布袋さんは、縁結びの神さまとしても有名です。
煎茶道の祖・売茶翁(ばいさおう)ゆかりの寺としても知られています。
普茶料理について
普茶料理(ふちゃりょうり)は、本宗の開祖 隠元禅師が中国から伝えた精進料理です。「普茶」とは「普く(あまねく)大衆と茶を供にする」という意味を示すところから生まれた言葉です。
一般的な日本の精進料理(禅僧が日常食する質素な食事)とイメージが異なっており、植物油を多く使い、大皿に盛って取り分けてたべるのが特色です。
見た目も美しく盛りつけられる料理の数々は、高タンパク・低カロリーで栄養面にも優れ、席を共にする人たちと楽しく感謝して料理を頂く事に普茶料理の意味が込められています。
普茶料理の作法は、日本の山野に生まれた自然の産物を調理し、すべての衆が佛恩に応え報いるための料理です。席に上下の隔たりなく一卓に四人が座して和気藹藹のうちに料理を残さず食するのです。
禅宗では「五観の偈(ごかんのげ)」という厳しい戒律もあることも忘れてはいけないことです。素朴、幽遠な禅味のある三百数十年の伝統と風味をご賞味ください。
拝観時間・拝観料
■拝観時間
午前9:00~午後4:30
■駐車場
バス2,000円・普通車500円
■拝観料
個人 | 団体(30名以上) | |
大人 | 500円 | 450円 |
高校生・大学生 | 500円 | 300円 |
中学生 | 300円 | 250円 |
小学生 | 300円 | 200円 |
アクセス
〒611-0011
京都府宇治市五ケ庄三番割34
TEL:0774-32-3900
■電車
・JR奈良線で「黄檗駅」下車、東へ徒歩5分。
・京阪電鉄宇治線で「黄檗駅」下車、東へ徒歩5分。
■お車
【大阪方面から】
名神高速「大山崎」ジャンクションから京滋バイパスに乗り換え、「宇治西」インターから京滋バイパス側道を直進
【名古屋方面から】
名神高速および新名神「瀬田東」ジャンクションから京滋バイパスへ乗り換え「宇治東」インター出口右折
【奈良方面から】
京奈和自動車道「城陽」インターから国道24号線を経て京滋バイパス側道へ右折