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- 京都をつくる、京都の土産 Vol.8
【通圓本店】 平安時代から850年続く老舗の茶屋・通圓。宇治橋の橋守として、遥かな昔から旅人の無病息災を願い、心身を癒すお茶を出し続けてきた(宇治市宇治東内)
知られていないものを、特別な人のために
昔、お世話になった大先輩に京都の高級料亭の特製デザートをお持ちしたことがありました。知る人ぞ知る名店に特別に頼んでね。竹を編んだ上品なかごの中に入った、レンコンの和菓子でした。喜んでいただけるかと思ったら、「そうそう、このお菓子美味しいんだよね」というお返事。どうやら奥様がその料亭の女将と友人だとかで、召し上がったことがあったそうなんです。その方は僕に親しみや感謝の気持ちを込めて「よく知っているね」と仰ったのですが、そのときはがっかりしたものです。
やはり、良いものはどんなに隠しても知られていく。発見の喜びを味わい、特別な人に分け合うのは簡単ではありませんね。情報を集め、感覚を磨くように日々切磋琢磨するしかないんだと思います。
『初めて接する喜び』を届けたい
隠れた名品を贈る際には、期待をしてもらえる「音感」というものがあると思うんです。あまり知られていない品物は、名前と合わせて「ちょっと変わったもので・・・」と前置きする。その説明への期待感が大事な気がします。受け取る方が初めて接する喜びというか。 そして、品物を目にしたときの印象、手にしたときの感触。最後に、口にしたときの食感まで連なって、ありがたみや特別感につながるのではないでしょうか。
人に教えたくない、という言葉はどこか後ろめたい感じのするテーマですが、特別な人を喜ばせたいときの「伝家の宝刀」にしておきたい。いまは情報がすぐに伝わり、同じようなものがどこでも手に入る時代。だからこそ、ほんの一瞬でも「自分だけが知っている、良いもの」を常に探していきたいものですね。
渋い色合いの三色団子がコロ、コロンと並んで茶畑を連想させる。宇治の面子をかけた本物の茶の味はさすが!煎茶、抹茶、ほうじ茶の特色がそれぞれ生かされている。食感も良く、美味しい。
手に取りやすい値段ながら、それ以上の価値を感じる。贈る人、贈られる人、双方に喜ばれそうな商品だ。
丸いイメージがある最中。ところがこの商品は四角い。どっしりと存在感がある。真ん中にぎっしり詰まったあんこを見て、「こんなに食べられない!」と叫びそうになるが、どうしたことか。最高級の大納言小豆の風味が口いっぱいに広がり、ついつい食べ進んでしまう。
宇治茶を飲みながらこれでお腹を満たせたら幸せだ。
- Vol.0 奥山和由氏 インタビュー
- Vol.1 「京都文化をつくる伝統の京土産」
- Vol.2 「祝いの心の表現に選ぶ京土産」
- Vol.3 「新しい京都を創る革新の京土産」
- Vol.4 「作り手に共感する愛用の京土産」
- Vol.5 「もらうと思わず笑みが出る京土産」
- Vol.6 「四季の京都を愛でる旬の京土産」
- Vol.7 「一年の感謝の心に選ぶ京土産」
- Vol.8 「人に教えたくない隠れた京土産」
- Vol.9 「奥山和由氏が選ぶ京都土産ランキング」
撮影協力:お茶の通圓