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- 京都をつくる、京都の土産 Vol.7
【宇治上神社】 簡素な佇まいが逆に神々しさを感じさせる宇治上神社。1994年、古都京都の文化財としてユネスコ世界遺産に登録された。(宇治市宇治山田)
渡すシーンを思い浮かべて
感謝の心を伝えるなら、相手に手渡すシーンが頭に浮かぶものがいいですね。会話が想像できるというか、贈る物によって話が弾むもの。高価なものでなくて構わない。相手のことをよく知っているから選べる品物って、それぞれあるでしょう。
僕はロールケーキが好きなんですが、友人が神戸で評判だという一品を買ってきてくれたことがあります。友人は僕と一緒に食事をした時、僕が美味しそうにロールケーキを食べていたのを覚えていてくれたんです。朝から並ばないと買えないような商品だったみたいでね。
美味しさもさることながら、「覚えていてくれた」という嬉しさで心が一杯になりますよね。品物選びに試行錯誤の跡が見えることもまた重要です。
記憶をたどり、その人のためだけの品物を選ぶ
人間関係は積み上げるものであり、歴史があります。特に日頃から世話になっている相手であれば、人柄をよく知っている。ある記憶を共有しているからこそ、相応しい品物を選べるし、一層喜んでもらえるのだと思います。
そのためには相手の立場や状況を考え、工夫して品物を探さなければいけない。贈るときに添える言葉も大切ですよね。お茶を贈るにしても、「粗茶です」より、きちんと相手を思った言葉を添えた方がいい。「美味しいお茶を飲んで、たまには一息ついてください」とかね。
自分の状況を考えてくれている、存在を認めてもらったと相手が思える品と言葉を贈れれば、心は伝わるでしょう。
豆腐は豆そのものだから、豆の美味しさには嘘がつけない。その点、この豆腐はしっかりと大豆の味を楽しめる。ごま豆腐の堅すぎず、柔らかすぎずの食感もいい。
箱の中に菓子のようにきれいに並んでいて、開けた人の目を楽しませる。こうやって手軽に美味しい豆腐を食べられるとあれば、若い人にもお年寄りにも喜ばれるだろう。
それぞれの素材の持ち味がわかってどれも楽しい。小瓶なので、少人数の家庭でも飽きないうちに食べ切れる。
カボチャ、栗、枝豆などのまったりした食感はもともとジャムに合うし、青梅や唐辛子もすっきりして意外な美味しさ。
外箱と、箱にかけられた店名入りの熨斗も京都らしい。
- Vol.0 奥山和由氏 インタビュー
- Vol.1 「京都文化をつくる伝統の京土産」
- Vol.2 「祝いの心の表現に選ぶ京土産」
- Vol.3 「新しい京都を創る革新の京土産」
- Vol.4 「作り手に共感する愛用の京土産」
- Vol.5 「もらうと思わず笑みが出る京土産」
- Vol.6 「四季の京都を愛でる旬の京土産」
- Vol.7 「一年の感謝の心に選ぶ京土産」
- Vol.8 「人に教えたくない隠れた京土産」
- Vol.9 「奥山和由氏が選ぶ京都土産ランキング」
撮影協力:宇治上神社、茶室 対鳳庵