- ホーム
- 京都をつくる、京都の土産 Vol.6
【興聖寺(山門)】 竜宮造りの山門(楼門)、石組みの庭園が美しい興聖寺。秋には紅葉の絨毯が敷き詰められ、幻想的な雰囲気を醸す(宇治市宇治)
川床で旬のハモをいただく。最高の贅沢
京都の四季といえば春の桜や秋の紅葉などが象徴的ですが、僕にとっては夏が思い起こされます。夏になると父親がよくハモ寿司をお土産に買ってきてくれてね。そのハモを食べると『ああ、夏が来たんだなあ』と思ったものです。
いまでも夏には京都のハモを食べたくなります。川床のある料亭に行くと、足元を流れる水がいかにも涼しげで。自然に根差し、古くから伝わる知恵を生かした清涼感なんですよね。クーラーがよく効いたホテルのロビーでは思い出さない感覚です。そこでその時期にしか味わえない旬のハモをいただく。最高の贅沢ですね。
味覚を通じて四季を感じる
京都には自然を愛で、もともとあるものの良さを最大限に引き出そうとする文化がありますが、食も同じです。料亭は素材や味付けに旬を反映させる。料理人は味覚を通じて人々に四季折々を感じさせ、日本人としての感性を育ててきました。季節感のないハウス野菜や冷凍保存された食材は京都の旬の味覚とは相容れません。料理人は腕が試されていると思いますよ。
僕が京都のお土産を買うときに駅のコンビニの品ではいけないと思う理由の一つは、置いてある品に旬を感じないから。真空パックに入った、いつでも棚に並んでいる商品にはやっぱり京都らしさはないんです。
くり抜いた柿の実の中に刻んだ野菜を詰め込んだ、珍しい柿のピクルス。彩り美しく、見た目も可愛らしいが、口に運ぶと『日本人で良かった』という実感がじわりと沸いてくる。独特の日本風味のスイーツのようだ。
甘いとも酸っぱいとも、一つの味覚では言い表せない、味のコントラストが面白い。
チョコレートのほろ苦さと甘さの調和が良く、大人が楽しんで味わえるケーキ。とても上品な味で、コク、しっとりとした生地、食べ応えのバランスも見事。栗の甘煮がちょうど良いアクセントになっている。
種類ごとのネーミングや包装デザインもしゃれていて、プレゼントに最適だろう。
- Vol.0 奥山和由氏 インタビュー
- Vol.1 「京都文化をつくる伝統の京土産」
- Vol.2 「祝いの心の表現に選ぶ京土産」
- Vol.3 「新しい京都を創る革新の京土産」
- Vol.4 「作り手に共感する愛用の京土産」
- Vol.5 「もらうと思わず笑みが出る京土産」
- Vol.6 「四季の京都を愛でる旬の京土産」
- Vol.7 「一年の感謝の心に選ぶ京土産」
- Vol.8 「人に教えたくない隠れた京土産」
- Vol.9 「奥山和由氏が選ぶ京都土産ランキング」
撮影協力:興聖寺