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- 京都をつくる、京都の土産 Vol.4
【大徳寺】 ご住職を交えて庭園を臨む。寺は応仁の乱で建物が焼失したが、鎌倉時代に一休和尚が再建し、その後も諸大名の保護を受けて栄えた。枯山水庭園をはじめ、書画や古文書など禅宗文化の宝庫となっている=大徳寺境内
「人に喜ばれるものを」。その心意気に共感
京都の作り手というと、伝統を守りながら良いものを作り上げようとする職人のイメージが沸きます。
作り上げた品が素晴らしければいつか必ず人の心に届く。それを『売らんかな』の精神で人に押し付けようとすると、商品の魅力は半減する。そもそもそういう作り手に限って、品物は美味しくない(笑)。逆に良い品を作ろうとする人々ほど歯がゆいぐらいに奥ゆかしく、ひたすらものづくりに向き合っているように思います。
名声やお金の問題ではなく、ただ美味しいもの、人に喜んでもらえるものを作りたい。商品を通じてそんな職人の誇りや心意気を感じると、本当に共感して応援したくなります。
美味しさの背景にある物語と真摯さ
今回紹介する商品の作り手からあえて挙げると、コロッケ屋さん(山田フライ専門店)はまさにそうですね。人生初!というぐらい美味しいコロッケでした。しかも低価格。
3代目のご主人は昔、手伝いに来たところを先代に見込まれ、店を継いだそうです。コロッケ作りの道にまい進し、やたらと商売を広げることはしない。支店はなぜか愛媛に一店だけ(笑)。エピソードから、美味しさの背景にある人と人との温かなつながりやものづくりへの真摯な姿勢が伝わります。
納豆屋さん(ユーアンドミー)も同じ。豆の一粒一粒に愛情が注がれていました。
たかがコロッケ、納豆。だが、大衆が喜ぶものほど一番を作るのは難しい。売り上げでもミシュランでもない。自分が信じたものに挑戦する姿勢に心意気を感じますね
北海道産の男爵芋と国産黒毛和牛の牛すじを使ったコロッケ。冷凍で送られ、家庭で揚げたてをいただける。
存在感のある肉とじゃが芋の素材の良さを、しっかりとした味付けが引き立たせる。衣もサックリとしており、ソースをかけなくても十分、美味しい。また食べたいと思わせる一品だ。
豆は国産、しかも顔が見える生産者によるものを使い、人の手でじっくりと作り上げている。一粒一粒に存在感があり、噛むと甘みを感じる。『自然』という言葉が似合う、本物の経木に包まれた納豆は探すに値する。詰め合わせの中には紅大豆やすず姫など初めて聞く名の豆を使った納豆もあり、好みを見つける楽しさも味わえる。
- Vol.0 奥山和由氏 インタビュー
- Vol.1 「京都文化をつくる伝統の京土産」
- Vol.2 「祝いの心の表現に選ぶ京土産」
- Vol.3 「新しい京都を創る革新の京土産」
- Vol.4 「作り手に共感する愛用の京土産」
- Vol.5 「もらうと思わず笑みが出る京土産」
- Vol.6 「四季の京都を愛でる旬の京土産」
- Vol.7 「一年の感謝の心に選ぶ京土産」
- Vol.8 「人に教えたくない隠れた京土産」
- Vol.9 「奥山和由氏が選ぶ京都土産ランキング」
撮影協力:大徳寺、宇治上神社